大鳥研究室の紹介
2番じゃダメですか、の問いかけで一躍知名度が上がったスーパーコンピューター「京」。その用途の一つにウイルスのシミュレーションがあります。シミュレーションとは、「模擬」や「まね」のことであり、これは計算機の上でウイルスを原子の集合体として表し、原子間の結合のあり方を原子に作用する力として計算で求め、ウイルスの構造(つまり原子配置)やその運動を、原子の集合体の運動として表そうという試みで、これを計算機による「まね」と称しているわけです。このようなシミュレーションの方法を分子シミュレーションと呼んでおり、2013年のノーベル化学賞もこのような研究に深く関わっています。近年、分子シミュレーションは理論や実験では容易に手の届かない原子レベルでの現象の解明に有用な手法として急速に発展しつつあります。
大鳥研究室への配属を検討している学生へ
本研究室では、より基本的な物質の性質に注目し、それを定式化することを目的に研究を行っています。定式化とは、数値の集合を式で表現することであり、例えば物質の粘性(粘っこさ)をその物質を特徴付けるパラメーター(例えば温度や圧力のような物質の環境変数と原子量や結合の強さといった内部変数)で普遍的に表す式を確立することが目的です。このとき、個々のパラメーターが本質的に重要かどうかを調べるのに分子シミュレーションの方法が大いに役立っています。また、この手法を応用して、核燃料廃棄物の処理・貯蔵、スマホなどディスプレイ用ガラスの開発、電解質材料や核融合炉材の開発、など社会貢献を目指した研究にも併せて取り組んでいます。